方位計算 Azimuth Calculation 応用編 - 傾斜補正

 

電子コンパスが水平になっている場合は簡略な計算方法で計算することが可能である。→[基礎編]

しかし、携帯電話/スマートフォン端末の場合には水平でなく、斜めに立てて使う場合が多い。

端末に内蔵した電子コンパスも斜めになるので、地磁気の水平成分が計測されなくなってしまう。

水平でない場合に正しい方位を計測するには、計測傾斜を加速度センサで測定し、傾斜の補正計算するが必要である。

 

具体的には、以下に計算方法を解説する。

 

(1)傾斜の測定

 

加速度センサで傾斜を測定するには、

 

重力によって加速度センサに重力の方向と 180度逆の方向に重力加速度が計測されるのを利用する。

重力の実測値(Ax,Ay,Az)と、水平に置いた場合の値(Ax0,Ay0,Az0)の2つのベクトルを用いて、

2つのベクトルを回転前を回転後とした場合の回転(回転角、回転軸)を計算する。

 

2つのベクトルのなす角αと、回転軸(nx,ny,nz)は、次の式で計算できる。

(2)傾斜の補正計算

 

前段で計算した回転(回転角,回転軸)を用いて、回転行列Mrotを計算する。

傾斜した状態で計測した磁気(Hx,Hy,Hz)に対して、傾斜を戻す方向に回転行列で回転を加えるには、

 

回転の向きを逆にして、α'= -αとなる回転行列Mrot'を用いる。

傾斜を戻す計算式は、次式となる。

上式から、傾斜補正した磁気(Hx',Hy',Hz')が得られる。

 

得られた傾斜補正磁気から、水平の磁気 Hx'とHy'を使って方位を計算できる。